発明情報

拡散強調MRI画像を用いた半自動化腫瘍評価システム

短時間で病変全体の悪性部位のカラーコーディング診断マップを表示可能

適用分野・用途

  • MRI及び医療画像機器会社
  • 医療画像ソフトウェア会社

発明概要と利点

本発明は、磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて癌病変における組織内の水および血液の微小循環の拡散特性の測定を行う事により得られる、新しい半自動評価システムである。


血液微小循環(灌流)は、腫瘍のグレードおよび治療効果評価において重要なパラメータとして知られている。しかしながら、従来、灌流情報は造影剤を用いたMRIにより評価されており(下図1)、これらの薬剤は、腎不全患者において重篤な合併症や死をもたらす危険性があった。

一方で、拡散MRIを用いる事で微視的レベルでの組織構造に関する詳細な情報を得られることが知られている(下図2)。これは、細胞膜や細胞密度のような組織の特徴によって水の拡散が妨げられ、水の拡散係数および組織における拡散障害の程度が(例えば悪性または良性腫瘍など)組織の状態により変化する現象を利用したものだが、これまで、拡散MRIを用いて精密な診断を行える手法は見出されていなかった。

本発明者らは、水の拡散パラメータ(例えば、平均拡散係数と障害の指標である尖度)および灌流パラメータ(例えば、流れる血液の体積分率)を、造影剤を用いずに、組織中の水のIVIM(Intravoxel Incoherent Motion)に基づいて単一のMRIデータから導き出す手法を考案した。

本手法では、悪性腫瘍の検出に最も高い感度/特異度を持つ各パラメーター値において診断閾値を設定し、すべてのパラメータの閾値を組み合わせることにより悪性から良性までの定量的診断スコアを確立することで、病変全体又はピクセル単位でカラースケールを用いて可視化できる(下図3)。

この新しいMRIアプローチにより、造影剤を使用せずに腫瘍グレード評価が可能となるだけでなく、生検部位の誘導につながる様な腫瘍の不均一さを表示したり、治療効果の判定にも使用することができる。

本発明の利点

  • 短時間・1ステップでの病変全体を特徴づける拡散・灌流パラメーターの定量的評価を実現
  • 造影剤を使用しない
  • マルチパラメトリック診断スコアにより、高感度・特異度を実現可能
  • カラーエンコーデイング診断マップにより、診断や生検部位の誘導が容易に評価可能

開発段階 ・ラット脳腫瘍モデルを用いた拡散・灌流パラメーターと組織構築との相関は実証済み。
 (Iima et a. Investigative Radiology 2014. In Press)
・既存技術に対する本発明の優位性について、乳がん患者の小さなコホートにより評価済み。(論文制作中)
・乳癌の前向き大規模研究が現在進行中。
・他の癌病変への適応性も現在検討中。
発明者 京都大学 ドゥニ・ル・ビアン、飯間麻美、矢野浩二朗
特許情報
出願人
国立大学法人 京都大学
出願番号
PCT/JP2015/055638
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