高いスピン偏極率を有する電流を発生可能な、革新的な電極です。 様々な電気化学反応などにおける高効率化も可能になります。
スピントロニクスは、現在の物性科学・電子工学における最重要課題を有する分野であり、なかでもスピン偏極電流は、電気化学反応を用いた新たな不斉合成や水分解反応のツールとして注目を集めています。しかし、現状用いられている強磁性電極による電流のスピン偏極率は低く、反応効率は低いものに留まっています。そのため、簡便に高いスピン偏極率が得られる方法の開発が望まれています。
発明者らは、キラル分子と金属ナノ粒子のネットワークからなる電極を作製し、高いスピン偏極率を有する電流を発生させることに成功しました。この電極を用いることによって、高効率の電気化学反応が実現されます。
図1.偏極過程と緩和過程によるスピン偏極の増幅この電極では緩和過程において偏極率がほぼ保存されるため、理論上100%に近いスピン偏極電流の実現が期待されます。
図2.ee(鏡像体過剰率)のキラル分子層数依存性この電極でキラル分子層数を増加させて用いることで、eeを増加させる、つまりエナンチオ選択性を増大させることが可能になります。これにより、目的とする光学活性物質を効率良く得られることが期待できます。
開発段階 | 本電極を用いた簡易実証で、80%程度のスピン偏極率を有する電流を生じさせることを確認済み(図1)。更なる偏極率向上の最適化検討中。 |
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希望の連携 | • 特許実施許諾契約 • 用途に応じたF/Sのための連携(+当該期間中の特許予約権契約) |
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