機械構造物などの設計において、従来にない設計自由度と明確な形状表現で、構造物の性能を最大限に引き出す構造を数理的に導出することができます。
機械構造物や材料の設計において、与えられた境界や物理的な制約条件のもとで所望の性能を最大限に引き出す「トポロジー最適化」が注目されています。従来よりト ポロジー最適化のさまざまな方法が提案されています。ひとつは、構造最適化問題を 指定領域内の材料分布問題に置き換える方法で、穴の生成や消滅も許容され形態の設計自由度が拡大されます。しかし、材料分布を密度汎関数で置き換えるこの方法は、 輪郭を明瞭に表現できない問題が生じます。他方、最適構造の輪郭を明確に表現でき るレベルセット法では、物体領域に空洞を含むトポロジー(形態)変化を表現できず、 設計自由度の制約が生じました。
本発明者らは、「レベルセット関数」と呼ばれるスカラー関数の等位面で物体の境 界とその形状変化を表現するとともに、複数の異なる相を境界領域を介して接続する 「フェーズフィールド法」にならい、構造最適化問題(離散最適化問題)を、構造の 幾何学的な複雑さを定性的に設定する密度汎関数の最小化問題(効率的に解探索でき る連続最適化問題)に帰着させることで、新しいトポロジー最適化の方法論を構築し ました。これにより、これまでにない自由度の高さで明瞭な最適構造が得られるよう になり、多様な分野の構造設計への展開が期待されます。
⮚ これまでにない構造物形態の自由度と明瞭な形状表現の実現
設計領域内の空洞生成を許容しつつ明瞭な形状表現が可能です
⮚ 多様な構造最適化問題への応用展開
剛性最大化問題や熱拡散最大化問題のほか、固有振動数最大化問題など、 本方法論を基盤に多様な物理要件を伴う構造最適化問題へ展開可能です
⮚ 革新的な構造物の創成支援
人の発想、製造性の制約を超えた最適構造の導出により、 革新的な機能や性能を引き出す構造物の設計支援が可能です
開発段階 | • 基本プログラム完成済み • 用途に応じた開発可能 |
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発表状況 | 日本機械学会論文集A編, Vol.75, No. 753 (2009), pp.550-558 etc. |
発明者 | 京都大学 西脇眞二 |
特許情報 |
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希望の連携 | 特許実施許諾契約(非独占) 及びソフトウェア利用契約 |
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