スフェロイドをつなげ、意図した形状・厚さの細胞シートやブロックを作製することができる、足場材フリーな細胞培養方法および培養治具です。
再生医療分野では、マトリゲル等の足場材に包埋した細胞を三次元培養して作製した構造体を生体内へ移植する研究がなされています。しかし、生体にとって本来異物である足場材が混入することで、炎症反応や感染のリスクが生じたり、十分な治療効果が得られなかったりすることが課題となっています。そのため、足場材フリーの培養手法・機器(例:剣山法、ネットモールド法)の開発が進められています。
発明者らは、足場材フリーかつ簡便な三次元細胞培養治具を開発しました。
任意の形状の細胞シートやブロックなどの構造体を、安価かつ簡単に作製することが可能です。
スフェロイドをただ並べただけでは、団子状に凝集してしまい、所望のサイズの構造体を得ることができません。本発明では、スフェロイド間の凝集力に対抗する培養治具を用いることで、スフェロイドが団子状に凝集してしまうことなく、細胞シートやブロックを作ることができます。培養治具の高さや形状を変えることで、任意の形状・厚さの構造体とすることも可能です。スフェロイドを足場材に包埋する必要がなく、外周側のスフェロイドのみが培養治具と接触している状態で培養するため、構造体に異物が混入するリスクもありません。
既存の足場材フリーの培養手法と比べ、培養治具の構成がシンプルで、取り扱いが簡単です。安価に作製が可能であり、三次元培養の低コスト化に貢献します。
ピンセット等で培養治具を持ち上げれば構造体から取り外しが可能なので、構造体を傷つけずに培養治具から摘出することが可能です。温度の制御や特殊な器具も必要としないため、移植用組織の培養に向いています。
開発段階 | ・ブタ軟骨細胞、ヒト皮膚線維芽細胞及びヒト間葉系幹細胞で、約10mm×5mmの三次元細胞シートを作製済み。 ・さらに多様な細胞種で実験予定。 ・本発明の治具の製造・販売を検討していただける企業様や、特定の疾患に対する細胞移植方法を検討されている企業様との連携を希望。 |
---|---|
希望の連携 | ・実施許諾契約 ・オプション契約 (技術検討のためのF/S) ・研究成果有体物提供契約 ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
関連リンク | PDFで見る |
〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学 国際科学イノベーション棟3階