細胞標識を必要とせず(ラベルフリー)、移植前の培養細胞の品 質管理、および移植後の再生組織の経過予測や予後診断に使用す ることができる指標値を提供します。
患者に対して従来型の全組織移植(例:角膜移植)よりも、低侵襲性の細胞移植療法では高齢化社会における再生医療においてその発展が期待されます。従来技術では、①移植前の培養細胞の品質管理では細胞表面のマーカータンパク質の発現量で選別(図1)していますが貴重な細胞を失うだけでなく、マーカーの機能的な裏づけが乏しいという課題が、②移植後の組織の評価は細胞密度などの観測値から経験的にしていますが、定量性に乏しく、例えばどのタイミングで再移植をすべきかを判断する定量指標がいまだに無い状況という課題があります。
本発明者らは、H29年度に京都府立医科大学において医師主導型治験が始まる角膜内皮の細胞注入移植治療(図2)を実施例とし、移植前の培養皿と移植後の組織における、細胞1つ1つの「形態」、および集団としての「揃い方」を定量的に評価する統一的な『指標値』を確立しました。これにより、移植前の貴重な培養細胞を失うこと無く、非侵襲的な品質管理が可能になり、さらに同一の『指標値』を用いて移植後の予後診断が可能になりました。
今回の指標値とマーカーで選ばれた良い細胞との関係性は正に相関し、かつ密度-良い細胞との相関性と比べて誤差が小さい(図3)であることが示されました。
実際に角膜細胞を注入した患者様中の術後経過を追跡したところ、ある閾値を基準に早期の予後予測が出来ます。
開発段階 | 設定した指標値を用いて角膜移植・角膜内皮細胞移植の予後予測が可能であることを実証済み |
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希望の連携 | ・実施許諾(非独占/独占) ・オプション(非独占/独占) ※本発明は京都大学および京都府立医科大学から特許出願中です。 |
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