αシヌクレイン(αSyn)のN末領域に強く結合するため、アミロイドに対して高い凝集阻害効果を示します。
αSynの凝集体は、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などのアミロイド疾患に関与しています。αSynの凝集では、そのN末領域が重要な役割を果たします。しかし、αSynに対する検出薬の多くは分解を受けやすいC末領域を標的としているため、実用に向いていません。また、N末領域を認識する抗体は存在はするものの、分子サイズが大きくドラッグデリバリーの障害となるために、アミロイド疾患に対して有効なものは知られていません。
RNAアプタマーは特定の分子に強く結合する一本鎖核酸オリゴの一種です。本発明者らはαSynのN末領域から中央領域の195アミノ酸を用いてαSynに結合するRNAアプタマーを選抜しました。同定された配列をからなるRNAアプタマーは、αSynのN末端領域に結合し(図1)、高いαSynの凝集抑制効果を示しました(図2)。
➢αSynのN末端領域に強く結合
αSyn のC末端は凝集過程で分解されてしまいますが、N末端はアミロイド線維中でも安定して存在しています。
➢アミロイドタンパク質の凝集を抑える
結合能が高く、アミロイド疾患の予防や治療薬の他、診断用途にもご利用が期待できます。
➢アプタマーは21ヌクレオチドにまで限定
他の方法と組み合わせることによって、脳内へのデリバリーも可能です。
➢安価で合成が可能
図1. 本発明の概要
本発明アプタマーとの結合領域(1-60)が緑色でハイライトされています。
図2. 本発明RNAアプタマーによるαSynの凝集阻害(293細胞)
FRET法を利用したαSynのseeding assayを行いました。本発明による
RNAアプタマーを添加するとαSynの凝集が阻害されるため、FRET(YFP
が励起される)が生じず、凝集点(緑)の減少が認められます。
開発段階 | • アミロイドの凝集阻害をin vitroで実証済み。 • αSynへの結合部分を21 ヌクレオチドまで限定できている。 |
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希望の連携 | • 実施許諾 • オプション(非独占/独占) ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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