水と有機溶媒の両方で利用可能で高い反応性がある、有機-無機複合体からなる溶媒膨潤ゲル を開発しました。
有機合成に用いられる触媒は、大きく均一系と不均一系に分けられます。均一系触媒は、触媒と反応相が同一系であるため一般的に触媒活性が高いですが、触媒の回収・再利用が困難でした。固体触媒に代表される不均一系触媒は、触媒の回収が容易ですが、担体に固定化された金属触媒は、反応性や触媒活性が低いという問題がありました。また水で膨潤したハイドロゲルや、有機溶媒で膨潤したオルガノゲルは、医用材料用途を中心とした応用研究が盛んに行われている一方で、金属触媒担体としての報告例は限られていました。
発明者らは上記の問題を解決する、有機-無機複合体からなる溶媒膨潤ゲルを用 いた不均一系触媒を開発しました(図1, 2)。本発明の利点は4つあります。
反応性
ゲルネットワークの運動性に基づく高い反応性を示します。P tを導入した ゲルは、ヒドロシリル化反応において、均一系Karstedt触媒と同等の106 h−1 オーダーの高TOF (turnover frequency) を示します。
再利用性
繰り返し利用可能なため低コスト化・低環境負荷化を期待できます。
低リーチング
P tのリーチングはきわめて少なく、ICP-AES測定における検出下限である 0.1 ppm以下です。
利便性
水・有機溶媒の両方で利用可能です。また Pt のほか、Au, Pd, Co, Niなどの 担持が可能であることを確認済みのため、さまざまな有機反応に利用可能です。
なお、本溶媒膨潤ゲルは、触媒以外の用途展開も可能です。
開発段階 | 不均一系触媒として、ヒドロシリル化反応、溝呂木-ヘック反応において良好な触媒活性を確認済み |
---|---|
希望の連携 | • 実施許諾契約 • オプション契約 (分野限定可) • 技術検討のためのF/S ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
関連リンク | PDFで見る |
〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学 国際科学イノベーション棟3階