4G通信や5G通信で問題となる帯域外輻射電力を、時間軸窓処理を用いて大幅に抑制することに成功しました。
現在の移動通信システムは、下りリンク信号波形として直交周波数分割多重 (OFDM)方式、上りリンク信号波形としてシングルキャリア周波数領域等化 (SC-FDE)方式が主に用いられています。SC-FDE方式はOFDM方式に比べ消費 電力が低い特長を有しますが、シンボル間の不連続性で発生する帯域外輻射電力 (Out-of-band emission; OOBE)が高く、周波数利用効率の点でOOBEの抑圧 が課題でした。帯域外輻射電力を抑圧するためにはローパスフィルタ(LPF) が有効ですが、狭いガード帯域以内で十分に帯域外輻射電力を抑圧するLPFを 実装するためには大きな計算量規模が必要となります。
本発明では、端末側からの信号に、長大なUTW(ユニバーサル時間軸窓)の適用 と強力なチャネル符号化技術とを組み合わせた波形処理を施すことによって、周 波数利用効率の点で問題となる帯域外輻射電力OOBEを大幅に抑制することに成功 しました。
図1は、本件発明のUTW-SC-FDE送信信号の構成を示します(窓関数UTW:レ イズドコサイン窓関数)。図2は、本発明の方式の規格化電力スペクトラム密度 (Power spectrum density ; PSD)の平均値を示します。 本発明では従来のSC-FDE方式に対してOOBEが十分に抑圧でき、窓遷移長NTRを 大きくするほどOOBE抑圧性能が向上することがわかります。
開発段階 | 数値計算による効果の検証を行いました。現在は実装評価済です。 |
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希望の連携 | • 実施許諾契約 • オプション契約 (技術検討のためのF/S) ※本発明は京都大学から出願、特許登録済。 (特許番号6935634) |
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