回転電機の制御において、始動電流やトルク脈動(振動)を抑制し、最大6%の効率向上できる「新たな移動平均化法」を提供します
今後、動力源となる回転電機の高効率駆動が期待されます。一般に、回転電機の高 効率駆動制御技術には、直流電圧から交流電圧を発生させるインバータが用いられ ています。その電圧の発生方法としては、PWM (Pulse Width Modulation; パルス 幅変調)制御が用いられており、三角波比較(三角搬送波と正弦変調波の比較)方式で 生成されたPWM電圧波形によって交流電圧を実現しています。この方式では、PWM 波形が理想的な形を描いていたとしても、波形に含まれていた高調波がエネルギー 変換やトルク発生に影響を与えることにより、始動電流が大きくなったりトルク脈 動(振動)が発生したりすることが問題となっています。
発明者らは、回転電機内のエネルギ―変換の基礎となる電圧の積分である「磁束」量の振動を平滑化する(移動平均化法)ことにより、汎用されている三角波比較PWM方式(三角搬送波と正弦変調波の比較)と比較して、始動電流やトルク脈動(振動)を抑制できかつ効率向上可能な方法を発明しました。
➢ パルス列の移動平均値と正弦変調波との比較に基づいてPWM波形を生成
本発明は、回転電機内の電気ー機械エネルギー変換の基礎となる「磁束」の制御によるものです。パルス列の移動平均値を求めることで、実質、回転電機内の「磁
束」に比例する量(積分量)を求めています。この移動平均値と正弦変調波との比較結果に基づいて出力電圧を制御することで、磁束量の振動の平滑化を可能として
います。
※図1 本発明によれば、図1(b)に示すように、最大始動電流は36A程度に抑えられており(一
般的なPWM方式における始動低損失でインバータに与える過電流の影響が少ないです。さらに、定常
状態への到達後(5秒後以降)のトルクの脈動(振動)もほぼありません。
開発段階 | 本発明の移動平均化法を用いたモータ駆動のシミュレーションを行い、始動電流やトルク脈動の抑制効果及び効率が最大6%向上を確認済み。 |
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希望の連携 | • 共同研究 • 実施許諾契約 • オプション契約 (技術検討のためのF/S) ※本発明は京都大学から特許出願し公開されています。 (特開2023‐124340号) |
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