乾燥ストレス耐性を向上させる新規遺伝子を導入することで厳しい環境でも生育可能な植物の生産に寄与します
地球温暖化に伴う気候変動は、耕作可能地の減少や砂漠化の進行等を引き起こし、農作物の生産減少、緑地減少に拍車を掛けています。乾燥地などの厳しい気候環境下でも生育が可能となる植物や農作物の開発は、その解決策となることが期待されます。
モンゴル・ゴビ砂漠地域は、年間降水量がわずか 50mmと極めて乾燥しており、冬には気温が-20℃ 以下に達する過酷な気候条件にさらされています。本研究者らは、そのような厳しい乾燥地域の中でもさらに極限環境の無生物エリアの最前線に生育するフロンティア植物Chloris virgata(クロリス)から、乾燥ストレスにより誘導される新規遺伝子群を同定しました(図1)。これらの遺伝子はモデル植物であるシロイヌナズナへの導入実験によって、植物に乾燥ストレス耐性を付与する活性を持つ新規遺伝子であることが明らかとなりました(図2)。本発明技術によって、厳しい自然環境下でも生育可能な植物の開発が可能になると期待されます。
⮚新しい乾燥ストレス耐性遺伝子を同定
当該遺伝子は乾燥ストレス耐性に係るシグナル伝達経路を活性化する働きや、乾燥ストレス耐性ホルモンの生合成を活性化する働きを担うと予測されます。
⮚異種植物に導入すると、その組換え体に乾燥ストレス耐性を付与できる
過酷な乾燥環境下でも生育可能な多様な植物を創出できる可能性があります。
開発段階 | TRL: Level 2 ・乾燥処理植物において新規の乾燥耐性遺伝子を同定 (図1) ・当該新規遺伝子を過剰発現させた植物において乾燥処理後の新鮮重保持率の高さを確認 (図2) ・穀物植物において新規遺伝子導入による乾燥耐性向上が見られるか評価中 |
---|---|
希望の連携 | ・特許実施許諾契約 ・オプション契約 ・共同研究 ・MTA(プラスミドの提供) |
関連リンク | PDFで見る |
〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学 国際科学イノベーション棟3階