数学的手法を用い、定量的に比較・評価できる画像診断法を確立しました。 病理医の経験値の差を補う、ロバストな定量指標を提供します。
従来の病理診断において臨床医は、”経験値を積んだ眼“で多様な病理染色像を判断してきました。近年では、画像診断に人工知能(AI)を用い、症例の分類を行う方法も主流となってきましたが、AIを用いた画像診断では、染色の濃淡や色調を情報として拾うため、標準化が困難です。そのため、組織を定量的に比較するロバストな指標を提供できていません。またAIでは、診断に至る途中経過を明示できないために、経験豊かな病理医がもつ評価基準との比較検証が難しく、医療従事者の安心や納得が得づらいことも問題となっています。
発明者らは、数学的手法を用い組織内の細胞の情報を複数の視点から規格化することにより、異なる病理サンプルの画像を定量的に比較・評価する方法を確立しました。本手法では、複雑に歪んだ組織切片に対しても矛盾なく評価することができます。さらに、複数の定量指標をもとに求められた統計値から、例えば、上皮がんの進行度に応じた特徴を見出しました(図1)。これらにより、組織画像から病状の進行度を数値指標で表すことが可能となります。
⮚ 病理画像診断の標準化
病理医の経験に基づく診断を数値指標で相補的にサポートすることで、地域・医療機関間の格差を軽減し、医療現場の負担軽減・病理画像診断の標準化に繋がります。
⮚ 数学的手法を用いたアウトプット
AIを用いた深層学習による"判断基準のブラックボックス化"を回避し、患者様・医療従事者の皆様へ、安心・納得の診断結果を提供します。
⮚ 様々なソフトウェア開発
病理画像診断ソフトウェア、経験の浅い病理医に「目の付け所」を数値で伝えるトレーニングプログラム、病理画像から予後の悪化を早期に検知する診断ソフトなど、診断機器、医療従事者のスキルアップへの活用が期待できます。
開発段階 | コアとなる数値指標は、複数個確定している。 |
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希望の連携 | • 実施許諾契約 • オプション契約 (技術検討のためのF/S) ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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