哺乳動物の多能性幹細胞から特定の内胚葉系細胞へ分化する胚体内胚葉サブタイプへの選択的に誘導する方法を発見した。
多能性幹細胞から内胚葉系細胞の誘導は、細かく分類すると、多能性幹細胞→前方原始線条→胚体内胚様→前腸または中後腸を経て各臓器へと誘導される。このとき効率的に各臓器細胞を誘導するためには、前方前腸、後方前腸および中後腸を経て誘導することが望ましい。このような内胚葉の細分類ごとの誘導方法はこれまで知られていなかった。
胚体内胚葉はヒトiPS細胞より前方原始線条を経て誘導される。研究グループは、同一の方法で誘導した前方原始線条よりActivin A(細胞成長因子の一つ)のみで誘導した胚体内胚葉AとActivin AとBMP(bone morphogenetic protein; 骨形成因子)阻害剤の両者で誘導した胚体内胚葉Bは、いずれも胚体内胚葉マーカーである SOX17、FOXA2 が共陽性であることを確認した。(Fig.1A)。この2つの内胚葉より既報の肝臓への誘導法を付加したところ、胚体内胚葉Aでは肝芽細胞マーカーであるAFPの発現を認めたが、胚体内胚葉BではAFPの発現を認めなかった。 (Fig.1B)。 この結果は、異なる分化誘導法で作製される胚体内胚葉AとBは分化能力が異なることを示している。
次に胚体内胚葉A, B の分化能力の違いを検証するために、胚体内胚葉A, Bを誘導因子なしで培養した。その結果、胚体内胚葉Aは後方前腸マーカーであるHNF4α, HNF1βの発現を認め、胚体内胚葉Bは前方前腸マーカーであるSOX2の発現を認めた (Fig. 2) 。胚体内胚葉A, B は誘導因子なしでも自発的に後方前腸と前方前腸に分化する能力を有することが確認された。
本研究では、現在SOX17とFOXA2 の2つのマーカーで定義されている胚体内胚葉の細胞集団の中に3つのサブタイプがあることを示し、それらを作り分ける方法を初めて開発した。また、今回誘導された胚体内胚葉A, B, C は、それぞれ自発的に後方前腸、前方前腸、中後腸へ分化する能力を有することがわかった。今回の方法で胚体内胚葉を作り分け、その後に従来の誘導方法を組み合わせれば、より質の高い内胚葉系の臓器構成細胞の作製に貢献することが期待される。
開発段階 | ・インビトロで、ヒト人工多能性幹細胞を使用して効果確認済み。 |
---|---|
特許情報 |
|
希望の連携 | 実施許諾契約 オプション契約 (技術検討のためのF/S) |
関連リンク | PDFで見る |
〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学 国際科学イノベーション棟3階