発明情報

関節リウマチの新規診断マーカー・治療標的の「PHIF」

PHIF (Pathogenic Helper Inflammatory Factor)はヒトリウマチ患者の炎症滑膜由来ヘルパーT細胞から分泌される新しいサイトカインで。病態形成と悪化に寄与するため、診断マーカーだけでなく、創薬標的としても有望です。

背景

 関節リウマチは、炎症滑膜においてヘルパーT細胞がB細胞を活性化し、自己抗体の産生を促進することが一因となって発症します。また、マクロファージや線維芽細胞の活性化と、それに伴う炎症性サイトカインの増加が関節破壊を引き起こし、疾患の進行に関与しています。関節リウマチの診断方法では、抗CCP抗体やリウマトイド因子が利用されていますが、これらの因子が陰性の患者の割合は約30%と見積もられ、より高感度で精度の高い診断方法が必要とされています。さらに治療を受ける患者の30%は治療効果が不十分で、新たな作用機序の治療法が求められています。

発明概要と利点

 本発明者らは、リウマチ患者の炎症滑膜に由来するヘルパーT細胞を解析し、リウマチ患者で特に高発現する遺伝子としてPHIFを同定しました。PHIFは、ヘルパーT細胞(Tph)の分化を促進するだけでなく、NF-κB経路を介してマクロファージを活性化することが明らかになりました(図1)。さらに、リウマチ患者の血清中ではPHIFの濃度が高いことも見出しました。これらの結果から、PHIFはリウマチの診断マーカーとしてだけでなく、新規治療薬の開発ターゲットとしても有望であると考えられます。

関節リウマチの新たな診断方法と患者の継続的な観察に利用可能

 AUC=0.917と高精度の診断が可能です(図2)。また寛解患者における血清PHIF濃度が低い事も確認しており、継続的な患者の観察にも利用できます。

関節リウマチの創薬への利用
 PHIFレベルを下げることを作用機序とする創薬に利用可能です。PHIF阻害薬のスクリーニングに使用可能な細胞株も樹立済みです。

関節リウマチの新たな治療ターゲットとしての利用
 PHIFは炎症滑膜におけるヘルパーT細胞の分化促進だけでなく、マクロファージを介した炎症の活性化にも寄与するため、PHIFシグナル自体を抑制する事で、新規治療方法の確立につながると期待できます。

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開発段階 ・抗PHIF抗体を用いたELISAにより、患者血清で診断の精度を解析済み。
・PHIFによるリウマチの病態生理メカニズムを解明
希望の連携 • 実施許諾
(分野独占も可能)
• オプション
(非独占/独占)
• 共同研究
※本発明は京都大学から特許出願中です。
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