本発明は、バイオプローブ等の物質を細胞質内に導入することが可能なペプチドである。
細胞内の特定の分子やタンパク質を認識する物質を利用したバイオプローブやバイオセンサーは、病態解析や薬物スクリーニング等にとって非常に重要なツールである。しかし、バイオプローブを機能させるためには、エンドサイトーシスで取り込まれたプローブ分子を高効率に細胞質に放出させることが必要である。そこで、pH感受性の膜損傷ペプチドや高分子を利用する手法が考えられてきたが、細胞内可視化や細胞活性測定に十分なエンドソームからの効率放出が得られないと言う問題点があった。
細胞表面での膜傷害性は低いが、細胞内に取り込まれた後のエンドソーム内の環境で膜傷害性を発揮するペプチドを開発した。
本発明のペプチドを用いて、10 kDaのデキストラン(高分子薬物モデル)の細胞質への放出を、50%以上の細胞で達成出来る。また、小型タンパク質では、ほぼ100%の細胞で、細胞質への放出に成功している。
本発明のペプチドを用いれば、バイオプローブや抗体を効率的に細胞質内に導入させることが可能となる。
共焦点顕微鏡による観察(使用している細胞はHeLa細胞)
左:ペプチド添加なし/右:本発明のペプチド添加
共焦点顕微鏡による観察(遺伝子組換えが生じた細胞は蛍光を発する)
左:ペプチド添加なし/右:本発明のペプチド添加
発明者 | 京都大学 二木史朗 |
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